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とっくに終了したどころか、その次の「王妃の館」も終盤に近く、次の次の雪組公演まで始まってしまったというのに、今更ながら「グランドホテル」のまとめの感想です(笑)

グランドホテル、本当に本当に素晴らしかった。
自分みたいなド新規クソニワカがこんなこと言うのもおこがましいことは分かっておりますが、自分が今まで見た宝塚のお芝居の中では、間違いなくナンバーワンでした。

濃密な脚本・演出、美しく想像力を掻き立てられる舞台セット、流れる重厚な音楽、そして組子の熱量。
自分史上過去最大回数観劇したけど、結局最後まで一度も飽きることなく集中して見続けることができた。

先に挙げたような点の効果も非常に大きいだけど、海外ミュージカルを一本物にせず、100分にぎゅっと凝縮してるからこその、この濃さだよね。
だれるポイントが一つもなく、何度見てもあっという間に時間が過ぎて行きました。

何とは言わないけど、「まだあと1時間あるのかよ」と思うこともあるままある宝塚で(笑)、「え、もう終わり!?」とひたすらグイグイと気持ちを引っ張ってくれるエネルギーでした。


「来ては帰る。それが人生さ」
グランドホテルのメインテーマも自分にはとても刺さるメッセージ。
良い事も悪い事もあるけど、それは普通なんだよね。それは誰でも一緒。
そんなドクターの独白を聞いてると、たまたまこの日の舞台でスポットが当たったのが男爵とオットーなだけで、他の日にはまた別の部屋に泊まっている、後ろで踊っている誰かの物語が上演されてるような気さえしてくる。

群像劇でメインキャストがそれぞれ皆同じくらい重要な登場人物だったけど、またそれ以外の人達も含めての群像劇で、快楽のみを求める住人たちも、低賃金で働く労働者たちも、掃除のおばちゃんも娼婦もまた「来ては帰る、何も起こりはしない」人生を送ってると。

そんな勝手な想いを馳せてしまうくらい、なんだか個人的に考え込んじゃいました(笑)

オットーの「あんなにハンサムだったのに…」という男爵への台詞もそういった背景を踏まえると、理解できるな。
初めの方は単純にこの世から美男子がいなくなることを社会的眼福(©ナンシー関)の観点から嘆いてるのかと誤解してしまったんだけど、あんなにハンサムで貴族で何もかも満たされたように見える人間が、実際は窮状に陥っていて、そしてあっさり死んでしまうことに、「何も起こりはしない」人生というものへの切ない台詞だったんだね。

自分の人生だってそうだけど、宝塚もハロプロも色んな人が来ては去って行く、それが普通の世界だと考えるとなんだか不思議だな。
ま、自分自身は何も変化が起きずに、ドクターのように端に居座って眺め続けてるだけの存在なんだけどさw


もう一つグランドホテルが自分に響いたのは、海外ミュージカルであるにも関わらず、当て書きそのもののようなハマり具合だったこと。
特に主要三役、男爵のたま様(珠城りょう)、グルーシンスカヤのちゃぴ(愛希れいか)、オットーの美弥ちゃん(美弥るりか)

ここまでメインキャストの役者と演じる役がガチっとはまることなんて当て書き中心の宝塚でも滅多にないし、だからこその奇跡的なキャスティング。
前任時代でも、他組でもできない、今の月組だからこそ、今の月組にしかできない舞台だったから「グランドホテル」がここまで輝いたんだと思う。ど

少なくともたま様は今まで自分が見た役の中で最も珠城りょうの個性が発揮され、かつ役の魅力を活かしきってたし、ちゃぴと美弥ちゃんもそれぞれ「1789」のマリー・アントワネットとアルトワ伯と互角の憑依度。
いや、憑依と言っちゃ悪いか、本人たちが役の本質を見抜き考え努力し計算した結果の役作りなんだから。

もちろん、3人以外の役替わりフラムシャン、役替わりラファエラ/エリックも、プライジングもドクターも、そして他のすべての組子もこれ以外あり得ないと思えるくらいの、見事な演技だった。
なんなんだろう、この完成度。なんなんだろ、このハマり具合。
そう呟きたくなるくらい、今の月組の魅力が120%詰まった舞台だったよね!?


自分は美弥ファンであるので、「グランドホテル」も美弥ちゃん中心の目線で見ちゃってたわけですが、グラホのメインテーマ以外にもこんなメタ的解釈もできるんじゃないかと思いました。

死にかけながらグランドホテルにやって来たオットーが(自らの進退を考えていた美弥ちゃんが)、ホテルの中で人生を見出し(月組の2番手になり)、フラムシェンと共にパリへ旅立つ(フランスが舞台の「瑠璃色の刻」に海乃美月と共に主演する)話だったんじゃないかと。

思い込みなのはわかってるけどね。でも、涼風真世さんのファンとして小学生ながら命を懸けてグラホを見ていた美弥ちゃんにとって、グラホがまた自分の人生を映す鏡のような作品になるもの美しい話じゃない?
誰が何と言おうと、自分はそう解釈するよ!w



で本題ですが、グラホを解釈するにあたっての最大の謎が「不倶戴天の敵・愛と死」

我々ヅカヲタは、「愛と死」って言われたら、「あーはいはい、愛と死ね」って言葉だけでその概念を理解できるんだけど、このセリフ初演の時もあったのかな。その時はロミジュリもまだだったもんね。

グラホにおける愛と死は何だったんだろうか。
結論から言いますと、自分としては「伯爵夫人とジゴロ」が「愛」、「運転手」が「死」だったんじゃないかと。それもグランドホテル全体ではなく、あくまで男爵にとっての。

「愛」と「死」というよりも、よく漫画であるような心の中の天使と悪魔のような存在かな。
男爵の心の中の葛藤。
伯爵夫人とジゴロは作中で誰とも関わりを持っていないし、運転手は男爵としか会話をしていない。本当にホテルの中に実在の人物として存在してるのか曖昧な存在だ。

貴族としての誇りを捨てジゴロになれば、いつまででもグランドホテルで快楽のみを求める生活を続けることができる。それも相手が盲目の伯爵夫人ならば、自慢の美しい顔が衰えても関係はない。
実際はジゴロに身をやつしてもそうそう上手くは行かないだろうけど、プライドを捨てさえすれば、という男爵の都合のいい願望。

一方、表面上だけでも貴族の誇りを保つためには、盗みでもしなければ生活は立ち行かない。
なんで運転手が客の事情を細々知ってるのかという疑問もあるし、運転手の言葉はすべて男爵の内なる悪魔の囁きのように聞こえる。
「持ってっちゃいなさいよ」「これ、お持ちになった方がいい」
止むに止まれぬ事情に追い込まれた男爵の、良心の呵責を外すための言い訳。
それなら男爵の部屋に運転手が居座ってたことも不思議ではないし、むしろ当然だ。

そんな男爵の願望と葛藤が舞台上に具現したのが愛と死である、伯爵夫人とジゴロ、そして運転手。
では、「不倶戴天の敵が手を取り合う」とは。

男爵は覚悟を決めて、愛と生きるか、死と生きるかを決めなくちゃならなくて、そして死を選んでいたつもりだったんだけど、グルーシンスカヤと恋に落ちることで、死ではなく愛の方に行こうとしたと。しかも死の力を借りて。
(盗みをした金で、グルーシンスカヤの元へいく。グルーシンスカヤにはジゴロではないと言ってはいたが、実際問題金を稼ぐ手段はないわけで、グルーシンスカヤのジゴロに近い形にならざるを得ないだろう。付き人的役割になったとしても、男爵本人の意思に関わらずラファエラへのお給金以上は確実にもらえるだろうし)

そうしたどっちつかずの対応をしてしまったことが男爵の命を終わらせたと。
グルーシンスカヤのことで焦ってなければ、男爵ももっと慎重に行動してて、死ななかったんじゃないかと思うし。

だけど、ジゴロになるのも、泥棒するのも、運悪く死んじゃうのも、そういうことも人生にはあるさっていう、「何も起こらない」ことのうち。

ま、初演も外部版も見ていない自分の、こういう解釈もできるんじゃないの、という解釈の一つとしていかがでしょう。なにせ映像で見返すことができないので(笑)、矛盾点もある解釈だろうし。
それにオットー主役版を基本とするなら、男爵の愛と死にそこまで複雑な役割を与えるかなーとも思うしね。
逆に、一見愛と死のどっちかっぽいデスボレロでのちゃぴは、宝塚的トップコンビとしての演出で特別な意味はないと思ってますw


伯爵夫人とジゴロ、運転手に近い存在であるのはドクターだけど、ドクターは実在してるんだろうか、う~ん。
オットーとエリックの2人と会話してるけど、2人としか会話してないとも言えるし、物語を俯瞰する立場でもある。

オットーが話の主軸であったなら、もっとオットーの理性を表す存在(金がなくなればフラムシェンもオットーの元から去るさ)としての描かれ方だったのかもね。
なんにせよ、ドクターの存在感はものすごく、夏美ようさんのさすが専科としか言いようのない素晴らしい演技でした。
自分はオットーが好きなわけですが(笑)、おこがましくも助演賞を選ばせていただくとしたら、はっちさんしかいないもの。



一応グランドホテルの感想はここまでだけど、最後にもう一つ書きたいことが(^_^.)

あーさ(朝美絢)、お芝居・ショーともに3番目扱いなのがスゴくね!?
たま様の早期就任、ちゃぴの在任期間、美弥ちゃんの2番手昇格の話題に隠れがちだし、下からバク上げされてきてるあり(暁千星)の方に注目も行きがちだけど、パレード3番目だよ!
ありと2人降りにすることもできたのに!
(ちなみにわたくしは、美弥ちゃんの2番手羽根だけしか見ていないので、残念ながらパレードのあーさをちゃんと見れたのはB席で観劇した時だけです。ゴメン!w)

たま様とありの超速出世に陰で、ほぼモブのウッドペッカーズ(Puck)→ 手下その1(1789)→反政府運動メインメンバー(舞音)→娘2格(信長)ときて、役替わり3番手(グラホ)と超順調に役付きが上がってるし。

まあ、あーさ自体の出世というより、上級生が抜けて言ったポジションに順番に入っていてるだけかもしれないが、それでもスゴい!


スゴい!あーさスゴい!と興奮していたわけですが、でもよくよく冷静に考えると…。
次からこの位置には月城かなとが来ますからね、っていう事前準備なだけなんだよなー。れいこ>ありの立ち位置をはっきりさせるため。

で、あーさが行く雪組での月城かなとの最後のパレードはポジションはエトワール…。
敢えて翔ともひとことも、はっきりさせないまま組替えにして、あーさはまた一から頑張らないといけないんだよね。。。
あーさ、大変だけど頑張れ。
美弥ちゃんだって、組替え後のロミジュリでこそ3番目降りだったけど、色々あってようやく今2番手なんだし!為せば成る。


ということで、今日も記事が長くなりましたが、グランドホテルの映像化、本当に本当にお願いします。
男爵風に「頼むよ…」とも言っておきますw


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